「円安になると外貨預金はどうなる?」
外貨預金を始めようと考えている人や、すでに米ドルなどの外貨を保有している人にとって、円安・円高による影響は気になるポイントです。
結論からいうと、外貨預金を保有している状態で円安になると、外貨を日本円に戻したときの受取額が増える方向に働きます。
一方で、これから円を外貨に交換して外貨預金を始める場合は、円安によって同じ金額の日本円で購入できる外貨の量が少なくなるため、必ずしも「円安=外貨預金を始めるのに有利」とはいえません。
この記事では、円安が外貨預金に与える影響について、具体例を使ってわかりやすく解説します。
円安になると外貨預金はどうなる?
外貨預金では、預け入れた外貨の価値を日本円に換算した金額が、為替レートによって変動します。
たとえば、1ドル=100円のときに10,000ドルを外貨預金に預けたとします。
その後、円安が進んで1ドル=120円になった場合、10,000ドルを円に戻すと、
10,000ドル × 120円 = 120万円
となります。
預け入れ時の為替レートが1ドル=100円だった場合、10,000ドルの円換算額は100万円でした。
そのため、為替レートだけを考えると、
100万円 → 120万円
となり、20万円の為替差益が発生することになります。
実際の外貨預金では為替手数料なども考慮する必要がありますが、基本的な仕組みはこのようになります。銀行も、預入時より円安の為替相場で外貨を円に換金すると為替差益が期待できると説明しています。
そもそも「円安」とは?
円安とは、外国の通貨に対して日本円の価値が相対的に下がることです。
米ドルで考えると、
- 1ドル=100円
- 1ドル=110円
- 1ドル=120円
のように、1ドルを購入するために必要な円が増える状態が円安です。
反対に、
- 1ドル=120円
- 1ドル=110円
- 1ドル=100円
のように、1ドルを購入するために必要な円が少なくなるのが円高です。
外貨預金では、この為替レートの変化が日本円での資産価値に大きく影響します。
円安で外貨預金に為替差益が出る仕組み
外貨預金では、円を外貨に交換して預け入れ、必要に応じて外貨を円に戻します。
このとき重要なのが、預け入れたときと払い戻すときの為替レートの違いです。
たとえば、100万円を米ドルに交換したケースを考えてみましょう。
1ドル=100円で預け入れ
100万円 ÷ 100円 = 10,000ドル
10,000ドルを外貨預金に預けます。
その後、円安が進んで1ドル=120円になったとします。
1ドル=120円で円に戻す
10,000ドル × 120円 = 120万円
この場合、為替レートだけで考えると、
120万円-100万円=20万円
の為替差益が発生します。
つまり、外貨預金では預け入れ時より円安になると、外貨を円に戻したときの円換算額が増える可能性があります。
ただし「円安=必ず利益」ではない
ここは外貨預金を考えるうえで非常に重要です。
円安になったからといって、必ずそのまま利益になるわけではありません。
外貨預金では、主に次の3つを考える必要があります。
- 為替レート
-
預け入れ時より円安になれば為替差益につながりやすくなります。
一方、円高になると為替差損が発生する可能性があります。 - 外貨預金の金利
-
外貨預金では、保有している外貨に対して利息が付きます。
ただし、金利は通貨や金融機関、預金期間などによって異なります。また、外貨普通預金などでは金利が変動する商品もあります。 - 為替手数料
-
円を外貨に交換するときと、外貨を円に戻すときには、為替手数料がかかる場合があります。
そのため、為替レートがまったく変わらなかったとしても、手数料によって円換算額が元本を下回る可能性があります。
円安と円高では外貨預金にどう影響する?
外貨預金を10,000ドル保有している場合を例にすると、為替レートによって円換算額は次のように変わります。
| 為替レート | 10,000ドルの円換算額 |
|---|---|
| 1ドル=90円 | 90万円 |
| 1ドル=100円 | 100万円 |
| 1ドル=110円 | 110万円 |
| 1ドル=120円 | 120万円 |
| 1ドル=130円 | 130万円 |
| 1ドル=140円 | 140万円 |
※為替手数料・税金・利息は考慮していない単純な計算例です。
このように、同じ10,000ドルを保有していても、円安になるほど円換算したときの金額は大きくなります。
逆に円高になると、円換算額は小さくなります。
円安のときに外貨預金を持っている人はどうなる?
すでに外貨預金を保有している人にとっては、円安が進むことで為替差益が発生する可能性があります。
たとえば、1ドル=100円のときに10,000ドルを購入し、その後1ドル=130円になった場合、為替レートだけで計算すると、
10,000ドル × 130円 = 130万円
となります。
購入時の円換算額は100万円なので、30万円分の為替差益です。
ただし、実際に円に戻す場合には、銀行所定の為替レートや為替手数料などが適用されます。
そのため、「為替レートが30円円安になったから、そのまま30万円の利益になる」と考えないことが大切です。
これから外貨預金を始める場合は「円安=有利」ではない
一方、これから外貨預金を始める人は注意が必要です。
円安になると、1ドルを購入するために必要な日本円が増えます。
たとえば100万円を米ドルに交換する場合、
1ドル=100円の場合
100万円 ÷ 100円
= 10,000ドル
1ドル=125円の場合
100万円 ÷ 125円
= 8,000ドル
となります。
同じ100万円でも、1ドル=125円のときには購入できるドルが少なくなります。
つまり、すでに外貨を保有している人にとっての円安と、これから外貨を購入する人にとっての円安では、意味が異なります。
円安のときに外貨預金を始めるなら何を見るべき?
円安だから、あるいは円高だからという理由だけで外貨預金を判断するのではなく、次のポイントを確認することが重要です。
外貨預金の金利
まず確認したいのが金利です。
外貨預金は通貨によって金利が異なり、円預金より高い金利が設定される場合があります。
ただし、金利だけで比較するのではなく、預金期間や適用条件まで確認しましょう。
特に外貨定期預金では、キャンペーンなどによって一定期間だけ高い金利が設定されているケースもあります。
為替手数料
外貨預金では、為替手数料も重要です。
銀行によって円から外貨へ交換するときの手数料、外貨から円へ戻すときの手数料が異なります。
高金利でも為替手数料が大きければ、実際の運用結果に影響します。
預金期間
外貨定期預金の場合、1か月、3か月、6か月、1年など、商品によって預金期間が異なります。
金利を比較するときは、単純に表示されている金利だけを見るのではなく、実際に何か月預けるのかも確認しましょう。
円に戻す予定があるか
外貨預金は、将来的に海外旅行や留学、海外出張などで外貨を使う予定がある人にも活用方法があります。
たとえば米ドルを外貨預金で保有し、海外でデビットカードなどを利用すれば、保有している外貨をそのまま決済に使えるサービスもあります。
「最終的に円に戻す」のか、「外貨のまま使う」のかによって、為替レートの影響も変わってきます。
円安なら外貨預金は「売り時」なの?
「円安になったから外貨預金を円に戻したほうがいいの?」
という疑問もよくあります。
しかし、外貨預金をいつ円に戻すべきかについて、一律の正解があるわけではありません。
外貨預金を円に戻すときには、
- 現在の為替レート
- 外貨を購入したときの為替レート
- 為替手数料
- 受け取った利息
- 今後も外貨を使う予定があるか
などを考慮する必要があります。
また、為替相場は変動するため、現在円安だからといって、その後も円安が続くとは限りません。
「円安だから必ず今すぐ円に戻す」と単純に考えず、自分が外貨を保有する目的に合わせて判断することが大切です。
外貨預金は円高になるとどうなる?
円安とは反対に、円高になると外貨預金の円換算額は減少する方向に動きます。
たとえば10,000ドルを保有している場合、
1ドル=130円なら130万円ですが、
1ドル=100円になると100万円です。
この場合、円換算では30万円減少しています。
つまり、外貨預金には為替変動によって元本割れするリスクがあります。
金融庁も、外貨預金について預入時より引出時の為替相場が円高になると為替差損が発生することや、為替手数料がかかることを注意点として案内しています。
外貨預金では「金利+為替」の両方を見る
外貨預金の収益を考えるときは、金利だけを見るのでは不十分です。
基本的には、
外貨預金の運用結果 = 金利による利益 + 為替による損益 - 為替手数料など
と考えると分かりやすいでしょう。
たとえば、高い金利の外貨預金でも、運用期間中に大幅な円高になれば、為替差損によって金利収入以上の損失が発生する可能性があります。
逆に、外貨預金の金利を受け取りながら円安が進めば、金利に加えて為替差益が発生する可能性があります。
外貨預金では「金利が高いか」だけでなく、「為替がどう動いたか」も重要です。
外貨預金のメリットと注意点
最後に、円安との関係を含めて外貨預金のポイントを整理します。
外貨預金のメリット
- 外貨による金利収入を得られる
- 円預金より高い金利が設定される通貨がある
- 円安になると為替差益が期待できる
- 海外旅行などで使う外貨を事前に保有できる
- 円だけに偏らない資産の持ち方ができる
外貨預金の注意点
- 円高になると為替差損が発生する可能性がある
- 為替手数料がかかる
- 金利だけでは最終的な利益は判断できない
- 外貨定期預金は預金期間に注意が必要
- 外貨預金は預金保険制度の対象外
外貨預金は、円預金とは異なり為替変動の影響を受けます。また、金融庁によると、外貨預金は預金保険制度の対象外です。
まとめ|円安になると外貨預金の円換算額は増えやすい
円安になると、すでに外貨預金を保有している人にとっては、外貨を円に戻したときの円換算額が増える方向に働きます。
たとえば、1ドル=100円のときに10,000ドルを保有し、1ドル=120円になれば、為替レートだけを考えると100万円から120万円になります。
ただし、これから外貨を購入する場合は、円安になるほど同じ100万円で購入できる外貨の量は少なくなります。
そのため、外貨預金を考えるときは、
「円安だから外貨預金が有利」
と単純に考えるのではなく、
金利・為替レート・為替手数料・預金期間
をまとめて確認することが大切です。
特に外貨預金を銀行間で比較する場合は、表示金利だけではなく、為替手数料まで含めて確認すると、より実際の運用結果に近い比較ができます。
外貨預金.comでは、各銀行の外貨預金の金利や為替手数料、受取額などを比較できる情報を掲載しています。外貨預金を始める前に、それぞれの条件を確認してみましょう。